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スモハラ(スモーク・ハラスメント)

スモハラとは?
企業に求められるスモハラ対策

パワハラ、セクハラ、マタハラなど様々なハラスメントがありますが、喫煙者が減少するにつれて増加したのがスモークハラスメント(スモハラ)です。企業内での受動喫煙対策が法律で義務づけられたことにより、喫煙者だけでなく企業も受動喫煙対策を講じる必要があります。そこで、企業が行うべきスモハラ対策について解説します。

スモハラとは?スモハラの定義と罰則

スモハラとは、スモークハラスメントの略です。自己の意思に反して喫煙者が非喫煙者に喫煙を強制したり、煙を吹きかけたり、意図せずにたばこの煙を吸わせたりすることなどがスモークハラスメントと言われています。髪の毛や服に煙草の匂いがつくことを嫌う人もいますので、彼らにとっては匂いだけでスモハラと言えるでしょう。

喫煙および受動喫煙も健康被害を生じさせますので、意図しない喫煙や受動喫煙はハラスメントとなります。また、安全衛生法や健康増進法によって、企業の受動喫煙対策が義務化されております。令和2年4月に施行される改正健康増進法では、事業形態や規模によって屋内の全面禁煙などが求められますので、企業はスモハラ対策だけではなく、受動喫煙対策も行わなければなりません。受動喫煙防止対策を怠ると、関係省庁からの指導や勧告を受けることになり、改善されなければ企業名が公表されます。また、罰則が適用されることもありますので、受動喫煙対策が求められる事業所では、早急に対策をしておきましょう。

企業が行うべきスモハラ対策

安全衛生法や健康増進法などの規定によって、企業は受動喫煙を防止すべくハード面での対策が求められています。それと同時に、受動喫煙等がハラスメントに該当することを従業員に周知しなければなりません。

求められるハード面でのスモハラ対策とは

スモハラ、受動喫煙被害を防止するためには、企業側が喫煙室や喫煙場所の指定、喫煙室の空調の整備などの対策が必要です。令和2年に施行される改正健康増進法では、施設の種類などによって屋内完全禁煙が求められることになります。学校や病院、児童福祉施設や行政機関、旅客運送事業自動車、飛行機などは屋内完全禁煙となり、喫煙室を設置することもできません。
飲食店では、喫煙専用室のみで喫煙が可能です。それ以外の施設では原則屋内禁煙となり、喫煙専用室のみで喫煙が許されます。従って、企業側は受動喫煙を防止できる技術要件に合致した喫煙専用室を用意しておかなければなりません。

企業側が受動喫煙対策を行う際は、喫煙専用室の設置のための工事費用や設備費などが必要になり、企業に負担となりますが、「受動喫煙防止対策助成金」という支援策がありますので、都道府県の労働局に申請しておきましょう。申請は、原則として先着順で、申請額が予算額に達した時点で締め切りになります。

ソフト面でのスモハラ対策

企業側が、ハード面で受動喫煙対策を行っても、スモハラは完全になくなる訳ではありません。喫煙の強要や受動喫煙の強要は、喫煙者本人がスモハラであることを自覚して、自制しなければならない問題です。また、受動喫煙を必ず避けなければならない従業員を把握しておく必要もあります。

就業規則の改訂就業規則の改訂

就業規則に、スモークハラスメントを禁じる旨を明記しておきましょう。

研修の実施

喫煙者に対して、スモークハラスメントというハラスメントが存在することや、受動喫煙の危険性、スモークハラスメントに該当する行為について、周知する研修を行いましょう。研修だけでなくパンフレットなどでの啓発も重要です。業務中だけでなく、飲み会などのレクリエーションの場でのスモハラにも注意すべきことなども理解させなければなりません。

受動喫煙について配慮しなければならない従業員の把握

未成年や、循環器系の病気を抱えている従業員、妊娠中、授乳中の従業員は受動喫煙を必ず避けなければなりません。彼らは、受動喫煙を強いる部署や業務に就かせないようにしましょう。過去には、業務中の受動喫煙が原因で疾病が悪化したことによる損害賠償請求が提起された事例もあります。

スモハラ相談窓口の設置

スモハラを問わず各種ハラスメントの相談窓口を設置し、従業員にその旨を周知しておきましょう。

以上のように、企業はソフト面及びハード面での受動喫煙やスモハラに対策を講じなければなりません。やるべきことが多岐にわたり、何から手をつければ良いかわからないという方は弁護士などの専門家に相談しておきましょう。また、厚生労働省が受動喫煙防止対策に対しての支援事業を行っているので、困ったときは相談してみるとよいでしょう。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000049989.html

スモハラが発生したらどうすれば?スモハラの対応策

ではスモハラが発生したらどうすればよいのでしょうか。従業員がスモハラの被害を訴え出た場合の対策を説明します。スモハラは健康被害が発生するおそれもありますので、慎重に対応しましょう。

被害者に事情を聞く

まずは、被害者にしっかりとヒアリングを行いましょう。スモハラでは、実際に健康被害が出ているケースもありますので、健康被害の有無、や健康被害がある場合は診断書の提出なども求めましょう。
受動喫煙や喫煙の強要に関する嫌がらせについても、頻度や場所、加害者などを確認しておきます。

加害者に事情を聞くor職場の環境を見直す

スモハラの加害者が特定の人物である場合は、その人物に事情を確認します。加害者が不特定若しくは、業務中の顧客の喫煙による受動喫煙の被害を申し出た場合には、職場の環境等を調査します。

特定の加害者によるスモハラが事実であれば指導を行う

加害者が特定されているスモハラの場合には、スモハラ行為を行わないように指導します。場合によっては、配置転換なども視野に入れましょう。度重なる指導にも関わらず、スモハラ行為をやめなければ、懲戒処分なども検討しなければなりません。ただし、その場合は、就業規則にスモハラ行為が懲戒処分に該当することを明記しておく必要があります。

職場環境によるスモハラの場合は環境の改善を

スモハラの原因が、特定の加害者によるものではなく、業務中に発生したものや、業務柄避けられないものである場合は、職場環境の改善が必要です。屋内禁煙の徹底や、喫煙室での喫煙の徹底などを行いましょう。受動喫煙が避けられない事業所では未成年や循環器系の疾患がある従業員、妊娠授乳中の従業員には当該業務を担当させないなどの対策も必要です。

スモハラのまとめ

スモハラは、匂いなどで不快感を与えるだけでなく健康被害を与える可能性があるハラスメントです。改正健康増進法の施行により、企業側は受動喫煙を防止すべく対策を講じることが義務づけられますのでハード面での対策は欠かせません。それと同時に、従業員に関してスモハラを行わないように周知徹底することが求められます。

スモハラが発生した場合は、企業側が適切に対応しなければ、健康被害による損害賠償請求を求められるなど、様々な不利益が生じます。スモハラは、発生防止だけでなく発生した婆の対策も非常に重要ですので、専門家に相談の上対策を講じておきましょう。社内に専門の部署がない場合は、弁護士や社会保険労務士などの専門家に就業規則の改定や、研修の実施、ハード面などの対策を相談しておくとよいでしょう。

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